打楽器新人演奏会/ラ・フォル・ジュルネ

第22回打楽器新人演奏会を見に国立オリンピック記念青少年総合センターへ。
主催は日本打楽器協会。今までコンクールの形を取っていたこの催しも「新人デビュー・リサイタル」と銘打ち、演奏会の形へと変わったそうだ。とは言え客席には審査員の先生方が座っている。採点の平均点が90点以上だった場合は審査員特別賞が出るとのこと。客席にはお客さんが少ない。1000円なのに残念だな。
打楽器奏者8名の演奏を聴く。福士則夫「ソロ・パーカッションのためのグラウンド」を選んだ奏者が2人居て、二通りの演奏を聴けたのが面白かった。この曲は好き勝手思いつくままに楽器を叩きまわっているかのように聴こえるのだけど、実は全て厳しく記譜されたセグメントの連続だそうで、確かに2人の奏者も同じ順序で様々な打楽器の音色を結び付けていく。ただ、おのおのの楽器のトーンは違っていたな。どの程度までが楽譜による指示に基づくもので、どの部分が奏者に委ねられるんだろうか、と思いながら聴いていた。楽器の配置も少し違う。楽器の数が多いからセッティングも複雑で、2人目の奏者は演奏を始めようという段階で楽器が一つ足りないのに気づき舞台袖へ走り去ってしまった。大変だ。でもちゃんと戻ってきて良い演奏を聴かせてもらえた。
マリンバ塚越慎子さんの演奏が素晴らしかった。かなり前に一度ご挨拶をさせていただいた方なのだが演奏を聴くのは始めてだった。音の一つ一つが会場内に良く回っていたと思う。曲目は、

  • アンナ・イグナトウィッチ/トッカータ
  • リー・ハワード・スティーヴンス/リズミック・カプリス

トッカータは初めて聴く曲だったが非常に叙情的な曲で、胸に迫る演奏だった。リズミック・カプリスはマレットの柄を用いた奏法を含む、マリンバの特性を良く活かした曲だが、こちらも素晴らしい演奏だった。
最後の演奏者まで聴いて急いでホールを出なくてはならず、賞の受賞の結果は聞けなかったのだが、どうやら塚越さんは特別賞を受賞された様子。
急いで電車に乗って向かった先は東京国際フォーラム。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」二日目。ギリギリだったが、19:45開演の演奏を聴けた。
チェロ/A.クニャーゼフ ・ オーヴェルニュ室内管弦楽団

チェロすごかった。あんなそっと弾く人を初めて見た。満員で何百人と居る客席にクニャーゼフの吐息が聞こえる。柔らかくて温かかった。
やはりこの音楽祭は素晴らしい。カジュアルだし、あまり商業的な匂いがしない。今後もこのスタイルで存続していくことを願う。羨ましい。