初仕事

5月。新しい月を迎え奥歯が痛みだした。知覚過敏のようなのだが何とも痛い。しかし、世はGW。歯医者さんだって休んでいる。持つか?
僕の歯はさておき、昨日は「String Ensemble 奏」の記念すべき第一回公演、そしてneophiliaの記念すべき初仕事だった。会場はめぐろパーシモンホール。前の会社に居たときに何度も使ったホールだ。しかし久しぶりのステージ業務に向かいつつ、思いがけず気持ちは緊張していた。でも会場に入ると感覚が戻ってくる。やるべきことが一つ一つ頭に浮かぶ。ステージに椅子と譜面台を並べていると楽団のメンバーも集まってくる。「String Ensemble 奏」は20人編成の弦楽オケで、国立音楽大学の卒業生が集まり立ち上げた楽団だ。みんなとても仲が良い。リハーサルでも積極的な意見を交わしながらも終始笑いが絶えない。一通りリハーサルが終わった後もステージ上に何人かが残って演奏をしている。ヴァイオリン二人、ヴィオラ、チェロ。この楽団に属するこの4人はELAN弦楽四重奏団というカルテットを組んでいて、実は前の会社のコンクールで僕は一度お会いしている。4人でさっきリハーサルをしたアンコール曲を演奏している。合わせていると、今度はステージ袖からコントラバス奏者が現れて演奏に加わる。「もう一回、もっと速く」という声が出て、演奏開始。会場の空気を鮮やかに切り刻んでいく弓の動きとそれに応える情感豊かな弦の響き。何人か残っていた客席から拍手。素晴らしい。
18:30の開場時間を過ぎ、少しずつお客さんが集まってくる。開演の時間にはほぼ満席に。素晴らしい。こうでなくては。舞台のドアを開け演奏者を送り出す。僕は舞台袖に残ってはいたけど、neophiliaもこうして扉を開いたのだ。僕の舞台は舞台袖にある。

ヤナーチェクは初めて聴く曲だった。古典的な技法と近代的な技法のバランスがとても面白い。胸に迫る旋律がある。演奏が素晴らしかった。
終演後、後片付け。みんな緊張の糸が一気にほどけたようで笑顔。僕もほっとする。今回僕をこの楽団に紹介してくださったバリトン歌手の村山岳さんともお話が出来た。村山さんには本当に感謝。8月の村山さんのリサイタルのお手伝いで恩返しをさせていただこう。
演奏会には僕の知り合いやこのブログを見て来場してくださった方もいらっしゃった。本当にありがとうございました。
打ち上げにも呼んでいただいた。これから一歩一歩足を進めていこうとする若い演奏家の人たちのお話をさせてもらうのはとても楽しい。高めの温度が心地良いのだ。僕も一緒に進んで行きたい。
演奏を通して人の繋がりが出来る。正しい。