エナン

pre-neophilia2006-06-12

日本負けちゃったようだ。ウチはワールドカップを前に母の熱望もあり、大きなテレビを買ったのだが、そのころ僕は豊島園で飲んでいた。ウチにさっき帰り失望の母に話を聞いた。「後半疲れていた」そうだ。あとクロアチア、ブラジルか。追い込まれたな。
「考えが甘い」とつい先日、とある方に言われた。僕の事務所の今後に関してのご意見を沢山いただいたのだが、そのことについて色々と考えを巡らす数日間だった。僕もちょっと自分を追い込んでいたのだった。
ワールドカップの開催と同時に僕が気になっていたのは、しかしテニスのフレンチオープンだった。ジュスティーヌ・エナン=アーデンが決勝に進んだのを見て僕のテンションも上がった。エナンのテニスを初めて見たのは2001年のウィンブルドン。僕はイギリスに居て、学校は夏休み、ベッドに転がってビールを飲みながら僕の部屋の白黒テレビを眺めていた(注・イギリスだってそりゃテレビはカラーなのだけど、僕の部屋のは白黒だった。イギリスで目にした唯一の白黒テレビ)。エナンは大方の予想を裏切り決勝まで進んだ。だが決勝の対ヴィーナス・ウィリアムズ戦はまず勝ち目のない試合だった。でも信じられないことに1セット取られた後の第2セットをエナンは取り返したのだ。全然諦めてない。結局最後のセットを取られて負けてしまったのだけど、男子決勝のイワニセビッチ、ラフター戦と相まって、すっかりテニスに魅せられてしまった。ウィンブルドンが終わった後も「テニスしよう!」と友達を誘ったのだが誰も乗ってこなかったので、近所の学校のコートで一人サーブを打ちまくったものだ。
翌年はウィンブルドンに行った。「テニス見に行こう!」と友達を誘ったのだが誰も乗ってこなかったので、一人電車に飛び乗ったものだ。到着した日は安いチケットでコートを巡り、杉山愛やハンチュコワ(二人は当時まだダブルスを組んでいなかった)の試合を見て、夜は会場入り口から続く行列に加わる。翌日のセンターコート/NO.1コートのチケットを買うために夜通し並ぶのだ。列で隣になった団体の人達がサンドイッチや飲み物を分けてくれた。うれしかったなー。「おまえはセンターコートか?NO.1コートか?」って聞かれるのだが、まだ分からない。僕はエナンを見に来たのだ。でも翌日の試合がどっちのコートで行われるのかまだ決まっていない。会場のすぐ外側に、列に並ぶ人も使える公衆トイレがあるのだが、そこの脇にモニターが設置されている。夜遅くに翌日のカードがそのモニターで発表された。エナンはセンターコート。よしって気持ちも盛り上がってみんなで路上サッカーをしていたら警備の人に怒られた。少し寝る。
列の中では「たぶん大丈夫だ」という説が有力だったが、実際チケットが売り切れていやしないかと半信半疑で翌朝を迎えたのだが、なんとセンターコートの一列目、アンパイアの逆側という最高の席が取れた。目の前にプレス席があって沢山のレンズがボールを追いかけている。叫んでしまった。エナンかっこよかったなー。相手のセレスも良いプレーをしていたが、やはりエナンだ。あの会場の雰囲気。良いプレーにわっと沸きあがり、サーバーがサーブの準備に入ると一転、水を打ったように静まる。プレイヤーの靴の音と吐息、ラケットがボールを捕らえ、ボールが芝を跳ねる、それ以外の音は聞こえない。帰りたくなかった。
そして話は飛んでやっと現在。そのエナンがフレンチオープンを制覇。三連覇だ。つえー。優勝のスピーチで感謝の言葉を。夫よりコーチよりテニス協会より先に、ボールボーイ達に感謝の言葉を送っていた。かっこいいぜ。
エナンはテニスと真っ直ぐ付き合っているように見える。僕もやはり音楽と真っ直ぐ付き合いたいと思った。エナンと対等に話せるように。
そんなこんなでここ数日話を聞いてくれた沼田圭介、村山岳さん、そして郄畠空の助けもあり、やはり何とか僕も進んでいきたいと思ったのだ。
あ、その村山岳さんの演奏会のチケットが絶賛発売中です。明日からneophiliaでも販売を行います。東京公演は8月26日、香川では8月5日に公演を予定しています。クラシックの歌を生で聴いたことが無い方達にはとても良い機会になると思いますよ。トークも面白いですよ。チラシもサイトにアップ出来ればと考えています。あ、そう言えばそのサイトの「ARTIST」ページがやっと更新されました。9月30日の「NeophiliaClassical #1」に出演する茂木建人さんと、仲村渠真紀さん・仲間康子さんの情報が載っております。これもちょっと・・・見切り発射。もうちょっと見やすくしたかったのだが、何せやり方がわからない。それは追々。とりあえず見てみてください! ⇒ http://NeophiliaClassical.com/