いよいよ

明後日が本番である。一ヶ月も更新していなかったうちに稽古を重ね、色合いも変えつつ舞台は進行し、昨日は通し稽古、明日は仕込み、本番に備える。あっという間だった。なんやかやとやることに囲まれて稽古にも思っていたほどは出れなかった。参加できた稽古ではただただ稽古の進行を見守るだけなのだけど、とても刺激になった。稽古をしながら台本が変わり、演技が変わり、構成が変わる。クラシックの舞台では楽譜という絶対的な存在があり、大きな判断の基準はそこにあるのだけど、演劇の舞台にはそれがない。2回ほど稽古に出れずにいるともう舞台が変わっている。演劇にだって作家がいて、演出家がいるのだから判断を下す役割を持つ人はいるのだけど、その人だって今稽古を見ながら考えているのだ。考える材料は目の前にいる役者であり、その声であり、体であり、そしてもしかしたら今日見たテレビや読んだ本、歩いた道や耳にした音楽かもしれない。そんな材料をどう並べるかによって舞台は如何様にも変わる。舞台は正に生きている。
その判断を日々下し続けているのは公演の作・演出をしている笠木泉さん。アデューのブログの笠木さんの紹介に間に合わなかったので、ここで笠木さんを紹介してみようと思う。
この公演の制作を僕に依頼してくれたのが笠木さんであり、もっと立ち返れば小学生のころから知っている友人なのである。そんなころから今日まで笠木さんと言えばやはり「話がおもしろい」人であり、それはその技巧による、話芸によるところなのだと思う。この人は何か出来事があるたびにそれをどのように面白く人に話すかという課題のもと頭が動き出すのではないか。その出来事が楽しくても、そうでなかったとしても、課題は変わらない。
今回が笠木さんにとって初めての作・演出なのだが、「どう面白く話すか」は、今舞台を見ながら「どう面白く見せるか」に転換している。気苦労も多そうなのだけど、天職だったりしないだろうか。
ということで、残席のこるところあとわずか。是非来て下さい。面白いですよ。客入れの時に流す音楽のセレクトが今ようやく終わりました。お楽しみに。