蝶道

養老孟司氏が蝶が飛ぶ道その名も「蝶道」について話している。蝶はフラフラ飛んでいるようでそうではなく、きちんと飛ぶ経路が決まっていると言う。どこだったか海外に昆虫採集しに行ったときにものすごい数の蝶が同じ道を辿っているのを目の当たりにしてその「蝶道」を実に視覚的に確認することが出来たそうだ。おびただしい数の蝶が軌道のデコボコまでも同じ形を描きながら飛んで行く。蝶が目で前を飛ぶ蝶を捉えひたすらに追っかけているのでなければ、一体何がその道を選ばせるのか。養老さんは「感性」だと言う。何にもない空間のように見えて自然環境は細かいディテールを有する。そのディテールを蝶の感性がとらえるのだと言う。そして蝶道はほんのわずかな環境の変化によってその軌道を変える。あまりにも不思議なように思えて、しかしもし自然の中に自分が成長していたとしたらきっと空気の見え方も違ってくるような気もする。でも僕はきちんと鉄筋コンクリートに囲まれて育ったので蝶道は見えない。そんな人間の持て余した感性がどこに向くのかと言うと、養老さんは人に向くのだと言う。時に必要以上に。確かにね。
話す相手が宮崎駿なので二人の会話も自然を中心に回っている。今度はそんな本を読んでいる。